このプロジェクト。地下で蓄電でやろうとすると雨が降るというジンクスが確立しつつあるのだ。
その日、気合いも入っていたので沢山の装置をクルマに詰め込んだ。駐車場もライブハウスの最短の場所に陣取った、しかし雨は強くなるばかりだ…。集合時間前だが会場に行ってみた、ドアが開いていたので中を覗いてみた、あと30分待っててとマスターにいわれるも、始めての場所なのでステージの様子を観察してみる、意外とコンパクトなのである。雨も降ってるし、計画は捨てて、シンプルなセットでいこうと決めた。それでも駐車場と2回の往復だ。
リハーサルの時間がきた、セッティングをする。装置はこの数ヶ月で安定感が増している、操作するコチラの慣れもあるし、何度も細かい改善の末のことなのだ。5秒ぐらいビーと音を出し終了。あれ?もう良いんですか?と聞かれるも、完全即興でいきたいのであまり音を出したくなかったのだ。
いよいよ時間がきた、あまり緊張はしない方だが不覚にもプロジェクト名を忘れる…。
「コンチハ、太陽光発電…えーっと何だっけ?あぁ音響装置計画です。キョ今日は、ここ数日間に溜め込んだ電気だけでやろうと思います。」「イエー!」なっなんかライブハウスっぽい反応。「それじゃ始めますんで…」沈黙…。静寂…。
〈ただ今、演奏中。〉
最後、タイミングをはかって静かにジャックを抜く。
手応えはあった。装置も雨の日にもかかわらず機嫌がよかった、自分も始めて聴く音を出してくれる瞬間があった。モジュラーシンセは面白い、電気が有機的に流れてそれ自体の生命感みたいなものが浮き出てくる瞬間があるのだ。
公演後、好意的な反応を寄せてくれる人が沢山いた。「なんか宇宙的、2001年をイメージしました。」と言ってくれた人がいた。あらためてレンタルして“2001年宇宙の旅”と前からみなくちゃと思っていた“惑星ソラリス”を見る。モノリスが出てくるシーンはリゲティという現代音楽家のもの、音が映像に与えているものを観察しながらスゲー。惑星の方もシンセの音が出てくる、こちらもスゲー。
聴いていただいたみなさま、誘っていただいた寒天網のみなさま、そして共演者のみなさま。
感謝しております。ありがとうございました。