常識的なプロセスでは、自然界の音を録音する→スタジオで再構築する、という流れ。これだけでは、満足できないようになってしまった。録音した音をあとで音楽的に構成すれば、そりゃ気持ちがいいものをつくれるかもしれないが、なんかエゴイスティクな感じがしてしまう。自然はそこまでコチラに合わせてはくれなし。そもそも、人間が搾取している感に負けてしまうのだ。そんなわけで、機材を自然界に持ちこむ→そこにある自然現象を聴く→そこで即興する、ということになってしまった。

人間は自然から何かを持ち帰り、それを加工して豊かな暮らしを実現してきた。なかには搾取する者もいたであろうが、それは限られていたのであろう。枯渇資源が文明の中心になってからは、自分が、どこから、何をえて、暮らしているのかが見えなくなった、都市部で暮らしていればなおさらである。自然がヒトを支えているのではなく、お金が支えている構造に成り下がってしまった、知らず知らずにそうなってしまっているのだ。

本来なら、そんな生活を棄てて、自然豊かな土地にでも移住したいのだが、そこまでの勇気がない。やはり今後も生業がなければ生きて行けそうにないジレンマに押しつぶされそうになる。であれば、人生の一時でも、そこに自分を持って行く。重たい荷物を担げるのもそう長くはないだから…。

背負子に機材、カメラと三脚、山の装備

水を遮断するために、樹脂を塗り固めたピエゾマイクを沢に流した。透明の水流は美しいが、音はかなり凶暴な感じだった。ゴゴゴという音のボリュームの変化を電気的な強弱に変えるとモジュラーシンセで音をいじれるのだ。電気的なノイズからもランダムはつくれるが、微妙な違いがあるとしておきましょう…。

Mutable Instruments Ears + Waterproof Piezo Mic