週末の2冊の本に目を通しました。
『失われた手仕事の思想』と『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』です。
一方は20世紀後半に我々が時代の流れの中で終焉を向かえたモノづくり(職人の思想)について。そして、もう一方はすでに始まっているモノづくりの新たな潮流について。注目したいのは、“作り手のコミュニティー?と自然や社会環境のなかで穏やかなモノづくりがなされるのかどうか?ということ…。その可能性についてです。

 
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同じことは自然観にもいえる。自然保護や共生、還元する自然という言葉が飛び交っているが、どこか一部だけ を元に戻すことはできない。手仕事の時代の基盤は人々の生活からすべてが生まれていたのである。生活が変わってしまったのに、都合のいい、聞こえのいい部 分だけを昔に戻そうというのは無理というものである。
私たちは手仕事の時代を終焉させてしまったのである。
それなのに、今現在、手仕事の時代に代わって進もうとする方向性は指し示されてはいない。まだ、行く道のわからない迷い道の途上である。
そんな時代でも、私たちは昔ながらに、友人や家族や学校という社会の中で生きている。人間同士の関係や結びつきに対してのルールは、世代間で揺らぎがあるが、竹のざるを使い、木造船で漁をし、茅屋根の家に住んでいたころのままである。
春が来れば桜を愛で、秋には紅葉の美しさにため息をもらす。土用を過ぎたら木の水揚げが終わり、冬支度に入るから木や竹を切る季節が来たと考えていた職人たちと同じ季節感で生きている。
建材の切れ端を拾えば、手にとって匂いをかぎ、そうした家に住むことを心地よいことだと思う心がある。
自然との共生をやめた人間たちは、新しい素材と品物に対する新しい思想と生活習慣を手に入れなくてはならないだろう。
今は次の時代の思想を確立するまでの過渡期の時代であるが、いずれ橋が架かり、次の時代に新しい人間関係や物、自然に対する安定した考えやルールを手に入れるだろう。
人間はそんなに愚かではなかった。『失われた手仕事の思想』(塩野米松/2001年)

 
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いま僕らが目にしているのは、新しい時代の家内工業への回帰だ。新たなテクノロジーは、人々にふたたび生産手段という力を与え、草の根からの企業と分散されたイノベーションを可能にした。『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(いま僕らが目にしているのは、新しい時代の家内工業への回帰だ。新たなテクノロジーは、人々にふたたび生産手段という力を与え、草の根からの企業と分散されたイノベーションを可能にした。

 
メイカームーブメントには、三つの大きな特徴がある。(中略)①デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作すること(デジ タルDIY) ②それらのデザインをオンラインのコミュニティで当たり前に共有し、仲間と協力すること ③デザインファイルが標準化されたこと。おかげでだれでも自分のデザインを製造業者に送り、欲しい数だけ作ってもらうことができる。また自宅でも、家庭用 のツールで手軽に製造できる。これが、発案から企業への道のりを劇的に縮めた。まさに、ソフトウェア、情報、コンテンツの分野でウェブが果たしたのと同じ ことがここで起きている。『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(クリス・アンダーソン/2012年)

 
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モノは人々の生活を大きく変えてきたのだ、これから先ももっと大きな変化が起きるかもしれない。
その時に必要なことは“新しい人間関係や物、自然に対する安定した考えやルール”つまり思想を語ってゆくことだと思います。
そして新たな職人の時代がくるのだろうか?

 
そこのキミ。この2冊オススメですゾ。